(この記事は2020年12月12日に更新されました)
「漢字を教えてもなかなか覚えてくれない・・・」
「子どもたち自身、漢字を覚えようとしない・・・」
「作業的に漢字を進めているだけでなかなか身につかない・・・」
そんな悩みをもつ先生に向けて、今回は書いていきますよ!
目次
こんにちは、たんくです。普段は公立小学校の教諭として働いています。二年目です。
宿題では葛原祥太先生のけテぶれを導入、漢字では土居正博先生の漢字指導法を導入し、日々実践しています。
今回は漢字指導法についてまとめていきます。
土居正博先生の「クラス全員が熱心に取り組む!漢字指導法ー隔週活動アイデア&指導技術ー」よりアイデアをいただき実践しています。
これまでの漢字指導の問題点から、土居先生の漢字指導を取り入れる前と後で、子どもたちの感じに対する取り組み方がどう変わったのかまでまとめていきたいと思います。
これまでの漢字指導
まずこれまでの漢字指導について考えていきましょう。
- 教師が黒板を使って、一日2文字など量を決めて国語の時間にやる。
- 子どもたちは教師に教えられた漢字をただ練習する。何度か練習したらドリルやノートを提出する。
という流れが多かったと思います。
つまり子どもたちはみんな毎日学ぶ字が同じということです。
これでは自主性は身に付きません。
そもそも漢字は小学校で学ぶことのうち、大人になっても使うことの代表ですよね。
つまり漢字ほどしっかり学ぶべきものも他にないです。
なのに漢字の学習はやらされる受け身の状態ですね。
作業的にドリルを進めているだけでは内容はまったく頭に入って来ません。
どんな字に分解できるとか、どんな字に似ているとか教師がなんとか意味を考えさせたり興味を持たせたりするのに精いっぱいです。
一部の子は漢字を覚えていきますが、一部の子はまったく覚えていない状態ができてしまいます。
新しい漢字指導法では
一斉に漢字を進めることでうまくいかなくなる点を紹介しましたが、今のクラスの漢字指導法ではどのようにしているのかを紹介していきます。
今の漢字指導では、子どもたちが自分のペースで漢字ドリルを進めています。
一日2文字ではなく、もっとやりたい子はどんどん進めています。
子どもたちに任せることによって、責任とやる気を引き出すようにしています。
具体的な進め方
新しい漢字指導法は、子どもが自分で進められるようにしていましたね。ここからは、その新しい漢字指導法の具体的な進め方を紹介していきます。
ドリルの取り組み方は決まっている
漢字ドリルの取り組み方は決まっています。
- 読み、例を3回声に出して読む
- 字を指で3回なぞる
- 空書き3回
- 丁寧に練習する
- 1ページずつチェックしてもらう
読み、例を3回声に出して読む
漢字ドリルには必ず漢字の読みが書いてありますよね。また、その漢字がどのように使われるのか例文もいくつか載っていると思います。
漢字の読みと、例文を声に出して3回読みます。まず声に出してみることで音でも覚えやすくなります。
字を指でなぞる
漢字ドリルには1文字ずつ大きく載っていますよね。その字を自分で指でなぞるようにしています。字を覚えることと、書き順の練習にもまります。
空書き3回
空書きとは、字を見ないで自分の目の前の空気にその字を指で書いてみることです。
実際に書けばいいじゃないかという声もありそうです。空書きだと自分が書いた跡が残りませんね。
しかしこれがいいんです。自分が書いた画が残らないので、より想像力を使って書く必要があるんです。
しっかり覚えていないと、空書きはできません。
空書きの時は、指を動かすだけでなく「いち、に、さーん、しっ」というように画数も口で言うようにしています。
丁寧に練習する
漢字ドリルでは、1文字ごとにその字を何度か練習するところがありますよね。そしてその1マス目はだいたいうすく字が書いてあり、なぞる練習になっていると思います。
その1マス目をはみ出さないように丁寧に書きます。また、他のマスも丁寧に練習するようにしています。
1ページずつチェックしてもらう
漢字ドリルを教師に1ページずつチェックしてもらいます。もちろん家でたくさん進めてきた人は学校ではチェックがメインになりますが、チェックのときは子どもが行列になりやすいので、1ページずつ見ています。
このように漢字ドリルを進めています。もちろん、どれくらいの速さでやるかは子ども自身に任せています。
どのようにチェックをしているのか
漢字ドリルの進め方について紹介してきました。ここからは担任がどのようにチェックをしていくのかを紹介していきます。
突然ですが、子どもがゲームに夢中になる理由を知っていますか?大人がパチンコやギャンブルに夢中になる理由を知っていますか?
その一つに「いつでも必ず勝つとは限らないから」という理由があります。
絶対に勝てるゲームを子どもは楽しんでやりませんし、パチンコで負ける経験があるからこそ勝ったときの印象が強烈になるんです。(神谷和宏氏「教師のための子どもが動く!コーチング50」より)
この理論を利用して、漢字でもやる気を引き出していきましょう。ゲームみたいにやるわけではありません。
ただ、厳しく見る。それだけです。
チェック内容は
- 丁寧さ、はみ出し、正しいか
- 空書き
- 読み
- とめ、はね、はらい
- 使い方
丁寧さ、はみ出し、正しいか
なぞるマスははみ出さないようになぞれているか、他のマスも枠からはみ出さずに書けているかを確認します。また漢字が正しく書けているかも確認します。
この時点で引っかかる子はすぐに返します。理由は特に伝えません。
また、チェックは厳しく見ています。子どもたちにやる気をなくしてほしくないという思いから、甘い評価をしてしまう気持ちもわかりますが厳しく見たほうがやる気は出ます。
空書き
漢字ドリルで練習している空書きをチェックします。これもサボっていたらいきなりはできません。
空書きでは書き順をチェックします。
対面の教師から見ると反対向きに見えますが、しっかりと書き順があってあるか把握できます。
そのときに指の動きと一緒に「いち、に、さーん、しっ」というように、画数も言うようにしています。
声に出してもらうことで、画数を音で確認できるだけでなく、”一画で書くところを分けていないか”など見ただけでは分からないところも確認することができます。
読み
漢字には読みが複数ある字も多いですよね。
その読みをすべて言えるかしっかりチェックしていきます。
読みが一つしかない字については読みのチェックはしません。
しかし読みが複数ある字については、しっかり言えるかどうかをチェックします。
そこで漢字ドリルで、読み3回をしっかり言っていたかどうかが試されます。
漢字ドリルで音読している子は簡単に突破しますが、音読が甘い子は引っかかります。
読みをしっかりと言えるようになっておくと、授業で急にある字の他の読み方を聞かれても余裕で答えられます。
とめ、はね、はらい
漢字のとめ、はね、はらいもしっかり見ています。具体的には空書きで「ん?」と思うところがあればそこをつっこみます。
また、間違えやすいなと思うところを聞くようにしています。
実は漢字のとめ、はね、はらいは、厳しく見なくてもいいんです。字の骨組みがあっていれば正解になります。(「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(H28/2/29 国語分科会)
しかし僕は、とめ、はね、はらいもしっかりチェックをしています。もちろん特別な配慮を必要としている子には、その子に合った支援をすべきだと思っています。
とめ、はね、はらいをしっかりすることが目的ではなく、とめ、はね、はらいもしっかり丁寧にやる姿勢の方を大切にしています。
粘り強さや丁寧さも、漢字の学習を通して身に付けていってほしいのです。漢字のはみ出しなども厳しく見ることによって、生きていく上で大切な力も付けていってほしいなと思います。
使い方
新しい漢字を使った文が一つ言えるかどうかをチェックしています。漢字は字自体に意味がある表意文字ですので、正しく使えるかが重要ですね。しっかり使えてこそ意味がありますので、例文を一つ言うようにしています。
もちろん漢字ドリルに載っている例文を一つ言うのもいいですし、自分で考えた例文を言うのでもOKです。
最後はしっかり使えるかどうかをチェックしています。
漢字チェック具体シーン
漢字ドリルの進め方やチェックの仕方を説明をしてきましたが、実際にどんなやりとりがあるのかを紹介していきます。
- 児「お願いします」
- 教(まず丁寧さや正確さの確認。OKなら)「じゃあ、”いえ”(その漢字の読みを一つ言って空書きさせる)」
- 児(空書きしながら)「いち、に、さーん、し、ご(略」
- 教「他の読み方は?」
- 児「か、け、や」
- 教「6画目は?」
- 児「はね」
- 教「使い方は?」
- 児「家族と過ごす」
- 教「OK!いいね!」
このように進んでいきます。一文字ずつ確認したらスタンプを押してあげていました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は漢字の指導法についてまとめました。
他の記事に詳しいことも書いていきたいと思いますのでぜひご覧ください。
やる気をもって、自分のために学ぶ。僕自身もそんな漢字学習を目指していきたいと思っています。